WEST SIDE 33

WEST SIDE 33

京都・三十三間堂の西側にお店を構える、その名も「WEST SIDE 33」。
鍛金(たんきん)という金属を金槌で打つことで形を変えていく技法で、
鍋やカップ・カトラリーなどの調理道具や日用品を作られています。
名店「有次」の行平鍋は日本一と料理人の中でも評判となっていましたが、
その行平鍋を作っていた寺地茂氏によるファクトリーブランドです。
いまでも寺地氏とそのお弟子さんが一点一点手作業で作られています。
均等に熱が伝わる鍋、まんべんなく焼きあがるフライパンなどは多くのプロに選ばれています。

寺地さんとの出会い

「とおりにわ」をオープンしようと決めた時に、どうしても『WEST SIDE 33』さんの美しい調理器具をお取扱いしたい!と思いました。
メールでお問合せをしてみようと、ホームページを検索してみましたが「…まさかホームページがない??」。
なんとか電話番号が分かったので、お店に直接お電話をしてみました。
すると奥様が出られて「今度、横浜でお店をオープンするので一度お話しにお伺いしてよいですか?」とお話しすると、
「うーん、主人がどう言うか分からへんけど伝えておくわ。いつ来られますか?」とのこと。
ちょっと不安に思いながら、約束の日にお店にお伺いさせていただきました。
すると「あ!忘れてたわ。でも居るからちょっと待って」と、ご主人の寺地茂さんを呼びに行ってくださいました。
第一声は「なんの用や」。正直、作られる作品やお店の雰囲気とはちょっと違い(スミマセン・・・)、
『THE・職人』という佇まいの寺地さんが現れました。
「今度、京都のクリエイティブをコンセプトにしたお店をオープンするので、ぜひお取扱いを…」とお話ししたところ、
「ダメダメ。もう新規は受け付けてへんのや」とのこと。
でも、せっかく憧れの寺地さんにこうして会ってもらえたのに引き下がれません。
お店をオープンするにあたり、ありったけの想いを伝えましたが、その日は「無理や」の一点張り。
その日はあきらめて、横浜に帰ることにしました。

WEST SIDE 33

二度目の訪問

一度断られましたが、やっぱりあきらめられないので、再度お電話してご訪問することにしました。
今度は、妻と2人で訪問しました。
「あのー、横浜の…」と言うと、「あー、前に来てくれはった人か」と、かろうじて覚えてくれていたようです。
再度お話をさせていただくと「ちょっと奥で話そうか」と奥の事務所らしきところへ通してくださいました。
すると「わしも、若いヤツらががんばってるのを見ると弱いんや」とのこと。
いろいろとお話ししてくださり(真意は分かりませんが)、
いままで日本だけでなく世界を相手にお取引きをしていて、いろいろな思いがおありなのかな、と思いました。
お話しする中で「なんで京都限定なんや。いまは東北や九州でもいいものつくる若いのがたくさんおるやろ」とのこと。
つい、京都の職人さんということで、新しいものや京都以外のものは受け付けないのかと思いきや、
最近がんばっていらっしゃる職人さんやメーカーさんのこともとても詳しく、
「いいものはいい」と認めていらっしゃるところに、懐の深さと感じました。
逆に、いわゆる「京都ブランド」だけに頼っているところや、
代替わりをして儲けに走ってしまったところなどには、同じ作り手として認められないという想いもおありなのかもしれません。
さらに、寺地さんは息子さんやお弟子さんへの継承にも大変熱心で、
「このスプーンも、女の子の弟子が作ったんやけど、すごくいいんや」ととても褒めていらっしゃいました。
そして、晴れてお取引のOKをいただき、お店でも「どんどん写真撮っていきや」と
商品の説明などもとても丁寧にしてくださいました。
そうしているうちに、「あ、いま台湾から注文FAX来たわ」とのこと。
いやいや、世界中が認める美しい道具をお取り扱いさせていただける喜びを実感したのでした。

WEST SIDE 33