辻和金網

辻和金網

御所から南に延びる堺町通。
変わりゆく町並みの中で「辻和金網」は創業以来八十余年の技を変わることなく守り続けています。
京都の金網の起源は平安時代にさかのぼると言われており、明治以降、盛んに作られるようになりました。
しかしプラスチック製品の登場や機械化という時代の波に直面し、価格の安さに押された金網職人たちは次々に店をたたみました。
そんな中でも工夫を凝らし、さらに巧みな細工が発達しました。
熟練の技が生み出す網目の美しさは機械による大量生産品には真似のできない「雅」があります。
金網細工は釘を打ち付けた台と指先の感覚だけで細い針金を編みあげていきます。
手作りだからこそ用途に応じて針金の太さや網目の大きさを変えることができ、
長年使ってほころびができた時は修理もできます。
多くのメディアでも取り上げられ、代々受け継がれる美しい道具です。

その佇まい

「とおりにわ」をオープンして数か月。
「やっぱり辻和金網さんはお取扱いしたいけどあんな有名店が相手にしてくれるかなー」と思いながら、
ダメもとで一度メールでお問合せしてみました。
後日、京都へ行く予定があり用事が済んで時間ができたので、
ダメもとついでに、直接お店に行って交渉してみようと思い、住所をたよりに『辻和金網』さんを訪ねました。
中心部から少し離れた御所の近く、喧噪から離れた京都の人々が生活している一角に辻和さんはありました。
その佇まいは、華美でも主張するでもなく、
毎日使う道具を丁寧に作り続けているからこそ醸し出される「品格」を感じました。
お店に入ると、お店の一角でご主人が手編みでひとつひとつ作業をされている最中でした。
その作業は黙々と続けられ、均一の美しい網目が生まれてきていました。

辻和金網

まさかの、即OK!

そうこうする内に、若ご主人が店内にいらしたので、思い切って声をおかけしました。
「先日、メールでお問合せした横浜の『とおりにわ』なのですが…」と言うと、
「メールもらってましたね。取扱い?いいですよ」と、即OKのお返事が!
こんなオープン間もない店のどこの誰とも分からない僕に、そんなに簡単にOKをいただけるとは、正直、本当にびっくりしました。
新参者も受け入れてくれるご主人の心の広さに感激するとともに、
実際に手編みで作られる商品というか作品の重みを感じていました。
その後、辻和さんから初めての納品。
焼き網には初めて使う方のための丁寧な説明書きや、茶こしは「お修理できますよ」など、
「作って終わり」ではなく、長く使って欲しいという想いと、使ってくれる人のことを一番い思って作られているんだなと、
改めて老舗になるべく、そのお心遣いを感じました。

辻和金網